榛名山麓コースで最初に訪れたのは「保渡田古墳群(ほどたこふんぐん)」。こちらは八幡塚古墳(はちまんづかこふん)、二子山古墳(ふたごやまこふん)、薬師塚古墳(やくしづかこふん)の3つの前方後円墳が集まった場所です。ひときわ目を引く八幡塚古墳は、約1500年前に造られたもので、5年に渡る発掘調査の結果をもとに当時の姿に復元されています。石を積み上げて造られた古墳の姿からは、当時の技術力の高さが伺えます。
高崎・藤岡エリア
渋川・高崎エリア
文・モデル
目次ほたる(めつぎ・ほたる)
2000年生まれ、東京都出身のモデル兼ライター。現在は栃木と東京の2拠点生活を送りながら、さまざまな地域の魅力探求と発信を行う。
群馬の歴史と文化を巡る旅『HANI-めぐり』。今回訪れるのは、榛名山麓(はるなさんろく)コースです。榛名山は赤城山、妙義山と並ぶ上毛三山の一つで、標高1,100メートル地点には火山活動によって生まれた「榛名湖」があります。周辺には伊香保温泉をはじめとした観光名所も多く、県内外の方に親しまれている観光地の一つ。歴史を学んで、名物料理を食べて、温泉に癒やされて。群馬の魅力を味わう榛名山麓コースを満喫してきました!
榛名山麓コースで最初に訪れたのは「保渡田古墳群(ほどたこふんぐん)」。こちらは八幡塚古墳(はちまんづかこふん)、二子山古墳(ふたごやまこふん)、薬師塚古墳(やくしづかこふん)の3つの前方後円墳が集まった場所です。ひときわ目を引く八幡塚古墳は、約1500年前に造られたもので、5年に渡る発掘調査の結果をもとに当時の姿に復元されています。石を積み上げて造られた古墳の姿からは、当時の技術力の高さが伺えます。
古墳には埴輪も復元されています。こうやって筒形の埴輪がずらりと隙間なく配置されていたんですね!古墳が造られた当時の様子をリアルに想像できました。他にも、細かく作り込まれた動物や人など埴輪の種類はさまざま。よく見ると、弓を持つ人と矢の刺さったイノシシなどもいて、「これは狩りのシーンかな?」と想像力をかき立てられました。たくさんの埴輪の中から、お気に入りを見つけるのも旅の楽しみの1つです。ちなみに私は立派な馬の埴輪に一目惚れしました!
そんな保渡田古墳群から出土した埴輪や副葬品は、併設された「かみつけの里博物館」で実物を見ることができます。館内では、1500年前の景観を復元した模型や、日本最古の飾履(しょくり ※飾りのついた靴のこと)が展示されています。八幡塚古墳に復元されている埴輪の実物も展示されているので、見比べてみてください。
保渡田古墳群
住所
〒370-3533 群馬県高崎市保渡田町2000-1TEL
027-373-8880(かみつけの里博物館)
かみつけの里博物館
続いて訪れたのが渋川市の「黒井峯遺跡」。約1,500年前に榛名山が大噴火を起こした際、軽石が降り積もってこの辺り一帯を埋めつくしてしまいました。軽石の層の厚さはなんと2メートル!しかしそのおかげで、当時の集落がそのままパックされ、発掘されたのが黒井峯遺跡です。調査の結果、馬が飼われていたことや、稲、麦などが栽培されていたことがわかるなど、古墳時代の人々の生活がより鮮明になりました。発掘当時、数々の発見に胸をときめかせた研究者や歴史ファンも多かったそうです。
現在は保存のため埋め戻されていますが、VR(バーチャルリアリティー)を活用した群馬県公式アプリ「黒井峯タイムトラベル」を使って、画面に当時の人々の暮らしや住居を映し出すことができます。リアリティー溢れる360度パノラマ画像では、集落の様子だけでなく、噴火により軽石が降ってくる様子も再現されていて、まるで本当にタイムスリップしたかのような気分に浸りました!黒井峯遺跡を訪れた際は、専用アプリをダウンロードして楽しんでみてください。
黒井峯遺跡
住所
渋川市北牧TEL
0279-52-2102(渋川市教育部 文化財保護課)
榛名山麓コースのグルメで楽しみにしていたのが、群馬名物・水沢うどん。水沢うどんは秋田の稲庭、香川の讃岐と並ぶ、日本三大うどんのひとつといわれています。水沢うどんの歴史は、古くは飛鳥時代までさかのぼります。当時、群馬県渋川市にある寺院・水澤寺の建立に携わった高麗の僧侶が、自国で培ったうどんの製法を現地の人々に伝えたことが始まりなのだそう。
伝えられた製法に習い、水沢の清らかな水と塩、群馬の名産品である小麦粉で打ったうどんを、戦国時代の頃から水澤寺の門前で参拝客に振る舞いはじめたことから、名物「水沢うどん」としてこの地域に根付いたといわれています。 水沢うどんは、冷たい麺を昆布とカツオの2種類のだしを使った冷たいつけ汁で頂くのが主流。透明感のある真っ白な麺を噛みしめれば、適度な弾力と口の中に広がる小麦の風味を感じられます。食べごたえはしっかりありつつ、のどごしはつるんと爽やかで、いくらでも食べられてしまいそう…!水沢うどんを提供するお店が何軒も立ち並ぶ「水沢うどん街道」では、それぞれのお店のこだわりが詰まった水沢うどんが食べられます。
散策のあとは、旅で疲れた身体をゆっくり癒やしたい。そんな気持ちで訪れたのが、群馬を代表する温泉地の一つ、「伊香保温泉(いかほおんせん)」です。情緒ある温泉街に到着すると、最初に見えてきたのは立派な石段。この石段は、伊香保温泉が始まった約400年前に作られたもの。
2010年に改修が行われ、「温泉街が1年365日、にぎわうようになってほしい」という願いを込めて365段になりました。石段の途中では、お土産屋さんや100年以上歴史のある温泉まんじゅう(湯の花まんじゅう)を売るお店、射的場などを発見!古き良き伊香保の歴史を感じました。 お待ちかねの温泉に到着すると、まず目を引かれたのは、初めて見る茶色のお湯!伊香保温泉には、「黄金(こがね)の湯」と「白銀(しろがね)の湯」の2種類の温泉があり、それぞれ違った効能を楽しめるのだそうです。
「黄金の湯」は、その名の通り黄金のような茶褐色。もともとは無色透明のお湯ですが、鉄分が多く含まれていることで、空気に触れるとこのような色に変化します。ゆっくり温泉に浸かったあとは、浴衣姿で下駄を履いて石段街のお散歩へ。風情あふれる街並みを眺めて、心癒されるひとときを過ごせました。
伊香保温泉
榛名山麓コースの最後に訪れたのは、「群馬県埋蔵文化財調査センター 発掘情報館」。 ここでは発掘調査で発見された出土品を見ることができます。
基準展示コーナーには、約3万年前の旧石器時代から、150年前の江戸時代の終わりまでの石器や土器、金属器などが年代順に並べられており、時代ごとの違いを比べながら見ることができます。数万年にもわたる歴史の流れを一望できる貴重な体験でした。
また、体験学習室では古代人の技術を体験できる土器づくり・勾玉づくりなどのワークショップが開催されていて、子どもでも楽しめる工夫がいっぱい。幅広い世代で楽しめる施設なので、気軽に立ち寄ってみてください!土曜・祝日は休館のため、事前の確認がおススメです。
群馬県埋蔵文化財調査センター 発掘情報館